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訴訟など

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その他の訴訟 ー自死②

 平成23年3月11日の東日本大震災を契機として発生した福島第一原子力発電所事故は,きわめて広範囲の地域の放射能によって汚染させ,多くの人々が,突然,生まれ育った故郷から引き離され,長期間にわたる過酷な避難生活を余儀なくされました。

突如として,生活の基盤,財産を奪われ,仕事を失い,子どもの遊び場・学習の場は喪失し,家族はばらばらになりました。ごく当たり前のように過ごしていた日々の暮らし,地域社会,環境が破壊されてしまいました。その被害は今なお見通しが立っていません。

 

 長く住み慣れた地域をまるごと失うということは,財産的な被害を生じさせるにとどまりません。自らの人生において育んできた地域コミュニティを奪われることによる底知れぬ喪失感,なじみのない不慣れで不便な避難先の生活での圧迫感,いつ帰れるかもわからない・もう帰れないかもしれないという絶望は,耐え難い精神的ストレスを負わせるものです。多くの避難者が,避難生活により精神的疾患,ないしそれに準じた状態に陥っているという調査もあります。

 そして,原発事故の恐ろしさは,この耐え難いストレスを避難者全て-健康な成人のように強いものだけでなく,このようなストレスに弱いもの,お年寄り,子ども,障がい者のようない弱い者も-に対し,あまねく押しつけたことにあります。

 弱い者へのストレスは,重篤な健康増悪によりその者を死に至らしめたり,また,精神疾患による自死を招くという「原発関連死」を多数生じさせています。そして,この最悪の事態は,すべての者を巻き込むという特性から生じる原発事故の必然的な結果なのです。

 

 福島県伊達郡川俣町山木屋に住んでいた渡辺はま子さんは,山木屋地区で生まれ育ち,同郷の夫と結婚し,3人の子とともに,山木屋に居を構えた生活を営んでいました。

はま子さんは,農業や養鶏の仕事をしながら,家族や地域の人々ともに,四季により移り変わる山木屋の自然に抱かれながら,ずっとずっと暮らしていくはずでした。

しかし,本件原発事故により,山木屋地区も4月22日で計画的避難区域に指定され,はま子さんの家族も避難を余儀なくされました。慣れないアパート暮らしとなり,家族はバラバラになり,仕事も失いました。

そして,平成23年7月1日,はま子さんは,自宅に一時帰宅した翌日の朝,自ら命を絶ったのです。享年58歳でした。

はま子さんは,原発事故によって,山木屋を失い,そこでの人生そのものを失ったのです。故人の無念は計りしれません。また,残された家族の悲嘆は,決して書面では書き表せないものです。