弁護団紹介
弁護団紹介
共同代表挨拶
広田 次男
2020年・東京オリンピック招致決定に際して、「汚染水を含む福島原発は完全なコントロール下にある」と世界に宣言されました。
福島原発からは、毎日400トンの汚染水が発生し、海に流れ続けています。
海に流れ出た汚染水が「コントロール下にある」という事を、多くの福島県民は理解できずに苦しんでいます。
その外にも、福島県民には理解できない事が多数あります。
避難指示地区が3段階に分かれています。
指示線の境は、大体は道路一本を隔てて、左右に分けられています。
道路の左右で、家に帰れるか否か、賠償金額の大小に始まり、様々な取扱について、国と東電の回答が異なる事も、多くの避難者は理解できません。
東電は、全いわき市民に対して、金額を金8万円と印刷した請求書を送りつけてきました。
原発事故についての、いわき市民の慰謝料だそうです。
何故、加害者が被害者の慰謝料を一律に定める事が許させるのか、多くのいわき市民は理解できません。
その後、4万円が追加されましたが、この追加分の請求書は8万円の通知について了解の返答を出した人にしか送られてこないのです。
この点も理解に苦しむ事態です。
東電は、被害者に対して「被害弁償については誠意を尽くします」と何回も繰り返しています。
民法724条は「事故から3年の消滅時効」を規定します。
来年の3月11日に「事故から3年」を迎えます。「東電は誠意を尽くすのだから、来年の3月11日を過ぎても消滅時効は主張しないよネ」と聞いても東電は返事をしません。
この事も理解に苦しむ点です。
その他、細かい事を上げればキリがありません。
結局、東電は被害者を惑わせ、正当な賠償額を値切る事で、事故の責任からの逃げ切りを計画しているとしか思えません。
原発事故について東電の逃げ切りを許す事になれば、この国の社会的ルールの基本が破壊されます。
即ち、自分の責任で発生させた事故については、それに相応しい責任を取る事が社会的ルールの基本であり、原発事故に於いては、この社会的ルールは正義という言葉で表現できるはずです。
私達の裁判はこの正義を求めて、提訴されたものです。