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2023・11・8避難者訴訟(第2陣・相双地区)の和解成立による解決についてのご報告



本件については、大半の原告世帯(訴訟承継が必要となった世帯以外)に関し、判決言い渡しに先立つ10月24日付で、和解が成立しております。


1 経緯

 被告東京電力は、裁判所に対して、裁判所から和解の提案があれば、前向きに検討したい旨の申し入れを行った。なお、各地の裁判所においても、同様の申し入れがなされる例があったことを把握している。

 裁判所から、原告弁護団に対して、和解に応じる意思があるかどうかの打診があり、当方は内容次第で和解による解決の可能性がある旨を回答した。併せて、原告側が確保すべきと考える「最低限の要求・内容」についても、見解を示した。

 このような経過を経て、裁判所から双方に対して「和解条項案」が提示され、原告らの意見聴取をしつつ、原告・被告間で各条項に関する修正等の協議を重ねて、合意に至った。


2 裁判上の和解による解決の趣旨

(司法的解決の必要性)

 本件における「避難による被害の回復(賠償)」の実現は、訴訟の提起によってしか、実現し得なかった。原賠審の中間指針等による賠償は、迅速な生活再建の実現という意味においては重要な役割を果たしたが、生じている被害の全面的な把握と救済という点では、決定的に不十分であった。殊に、「故郷(地域生活)の剥奪・喪失」という深刻な被害が放置されている状況を克服するためには、裁判所による損害認定と賠償の実現が、なんとしても必要であった。

 そして、この課題は、避難者訴訟・第1陣をはじめとする先行訴訟の確定を通じて達成され、「故郷喪失損害」などに関する賠償対象の拡大と、一定の賠償水準が形成されるに至っている。

(早期救済の必要性)

しかし、こうした訴訟の進行と判決の確定を得るために、既に事故発生から12年余りが経過し、これ以上、被害回復を先送りには出来ないという段階に至っている。

 そこで、先行訴訟の判決や第5次追補を踏まえた、適切な内容・水準の和解が実現するのであれば、被害の早期救済を実現するために、和解の活用に意義が認められる。

(求められる内容)

・東電による、加害責任を認めた上での真摯な謝罪

・先行訴訟や第5次追補を踏まえた、適切な水準の賠償

・地域の再生や復興に向けた、加害企業としての取り組み

(今後への課題)

 先行訴訟や第五次追補の水準は、被害者にとって、決して十分なものとは言えない。救済の水準を前進させるためには、損害立証のさらなる積み上げによって、控訴審をも含めて新たな内容・水準の判決を獲得する取り組みを継続することが必要である。早期救済のために、その可能性を断念するのは不本意な事態であり、後続の訴訟においては、その両面を実現して欲しい。

                                               以上



20231109 朝日新聞
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20231109 福島民報
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